闇の底
デビュー作にして江戸川乱歩賞を受賞した『天使のナイフ』は少年犯罪をテーマにしたサスペンスだったけど、2作目のこれは性犯罪がテーマ。前作につづき、またまた興味深いテーマでわくわくしながら読みはじめました。
少女を狙った性犯罪が発生するたびに、かつて性犯罪を犯した男たちが殺される事件が起こった。幼女が性犯罪者に殺された事件を捜査していた長瀬は、捜査なかばで県警に出向させられ、連続殺人事件の捜査チームにくわわることに。実は長瀬は、子どものときに妹が性犯罪者の犠牲となっており、事件には複雑な思いを抱いている。
世論をも巻きこんだ劇場型犯罪の結末は……?
うーん、いろいろ突っこみどころのある内容だと思います。(^^;)『天使のナイフ』の完成度がものすごく高かったので、なんか拍子抜けしちゃいました。かなり早い段階であからさまなミスディレクションがあって、この人は絶対に犯人じゃないだろうと思いながら読んでいたせいか、物語の流れにうまく乗れなかったんですよね。だから、結末にも驚かなかった。というか、後半に入ってから、もしかしてと思ったんですが、そのとおりの結末でした。それに、あの段階でなぜ長瀬が県警に行かなければいけなかったのか、その必然性が全然感じられなかったのも不満。警察小説としてだめだめじゃん。
ただし、『天使のナイフ』同様、この小説が投げかけているテーマは重いです。性犯罪をおかした者をどう更正させるのか、犯罪者の情報をどこまで住民に開示するのか、いま日本でもいろいろ議論されていますが、本当にむずかしい。T・ジェファーソン・パーカーの『ブルー・アワー』では、仮釈放の条件として、性欲を押さえるための女性ホルモンを定期的に注射しているという話が出てきましたが、いずれ日本でもそういう提案がされるときが来るのでしょうか。
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