香菜里屋を知っていますか

三軒茶屋にあるビア・バー〈香菜里屋〉を舞台にした、連作短篇集もこれで4巻目。と同時に、これが最後なのだそうです。えー、残念。語りのうまさもさることながら、マスターの工藤がさりげなく出す料理がどれもおいしそうで、読むのが本当に楽しかったんだもの。その料理も、めちゃくちゃ凝っているわけではなく、たとえばゆでたもやしを塩とごま油とちりめんじゃこであえただけというシンプルなものが主体。でもそのシンプルさゆえに、おいしさが簡単にイメージできるんですよね。一部の食通でなければ口にしないようなものを出されても、おいしいんだろうなと思うだけで終わってしまうもの。そのへんのさじかげんがじつにうまいと思うんです。
で、さすがラストだけあって、オールスター・キャストというか、なつかしのあの人、この人が次々に店を訪れます。どのエピソードも終わりを予感させるような内容で、また、マスターの工藤の過去も明らかになったりするのですが、彼が店をたたむ理由がいまひとつはっきりしません。ひょっとしてわたしの読解力のせい?(^^;) まあ、それは多分にあると思うけど、それだけでもないような……なんて、あれこれ悶々と考えてたところで、大矢博子さんの書評を読んで、おお、そういうことか!と膝を打ちました。いままでは別シリーズの登場人物が〈香菜里屋〉を通じてクロスしてきたわけだから、今度は別のシリーズを追いかけてれば、そのあたりも明らかになると考えるのが当然だわね。ますます楽しみになってきたわん。
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