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用もないのに

用もないのに 新聞の広告で奥田英朗の新作旅行エッセイ集が出たと知り、すぐに買ってしまいました。書き下ろしではなく、《ナンバー》や《野性時代》など、複数の雑誌に掲載された文章をまとめたもの……なんですが、あいかわらずおもしろいですー。帯の“笑えますって”のコピーに偽りなしです。

 なかでも受けちゃったのが、「おやじフジロックに行く。しかも雨……」編。もうタイトルまんま、当時40代後半の奥田さんがフジロック・フェスティバルに参戦したときのルポなんですが、導入部の文章がもろにわたしの気持ちを代弁しているみたいで、思わず苦笑い。ニール・ヤングやスティーヴ・ウィンウッドの出演に心動かされるものの、“しかし、おやじの腰は重いのである。ロックの一線をとっくにリタイヤした身に、新幹線に乗って苗場の会場まで行くだけの情熱はない”と言い訳し、行動に移すことがなかった経緯が語られるわけですが、わかりますよねー、この気持ち。

 そんな奥田さんが若い編集者に焚きつけられ、原稿を書くという名目のもと2005年のフジロックに出かけるんですが、もー、ちょっとトシのいったロック好きなら、思わず「そうそう!」とうなずいちゃう箇所多数。あの出不精でものぐさな奥田さんが行ったんだから、とわたしもちょこっとその気になったりしたけれど、今年の出演者にはいまひとつそそられず。ふん、おばさんの腰はおやじ以上に重いんですよ!

■書誌情報
『用もないのに』奥田英朗/文藝春秋(2009.05.15発行)

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